忍者ブログ

Burlesque

2008.12/10~ / written by ui.h
2024
05,19

«[PR]»

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2010
02,16

放置続きですみません。試験期間中ですがポスト。
千天洲さんを見て思い出したバレンタイン。乗り遅れている!

試験が落ち着いたら改めて色々と書きます。
追記からフレイスとソフィア。







 訊けばエルフには他人どうしで特別な贈り物をしあう習慣がないようだった。
 はじめての贈り物だろう、バレンタインに小さな白い花束と金色の指輪を贈ったとき、ソフィアは困惑というか狼狽してフレイスを見上げた。
「わたしに?」
「そう」
 エルフが高価なもの、想いの詰まったものを贈るのは家族に対してのみだという。
「困ったわ。どうすればいいのか分からない」
「別にどうもしなくていいけど。花は、長持ちするやつを選んだから。部屋の花瓶に飾っておくといい」
 贈ったフレイスのほうが飄々としていて、ソフィアはますます困ってしまう。
 指輪なんかは、どうやらオーダーメイドのようで、サイズも見たところ丁度よさそうだ。
「これは、どの指に嵌めるの? 決まりはあるの?」
 エルフは指輪というものをほとんどしない。薬師であるソフィアなら尚更だ。
 よごれてしまうし、仕事の邪魔になる。いまは薬をほとんど触ることはないから良いけれど。
「こういう風に金色のアクセサリを贈る人っていうのは、独占欲が強いんだって」
 他人事のように言われて、ソフィアはますます混乱する。
 ああ、きょうは何か変だ。フレイスではなくてわたしが。
「知ってて選んだの?」
「それ聞いて金色にした。銀だと吸血鬼よけにはなるけど、吸血鬼はエルフを襲わないんだろ?」
「ひとにもよるけど親切ね」
「だったら銀よりも金のほうが、俺は好き。じょうぶだし」
 二人が話しているのはリビングから少し離れた、キッチンの傍のカウンタ席だ。
 暖炉にこうこうと火を燃やして、他の三人はカードゲームをしている。
 どの指に嵌めるかという答えから逸れた話題になってしまったので、しかたなくソフィアは一つ一つの指に嵌めてみる。どの指にも入った。小指だけ緩いので除外する。
 かんがえて、左手の人差し指に嵌めた。
「そこ?」
「違う? 指輪なんて数えるほどしかしたことがないから……」
「いや。どこでもいいんだよ」
 フレイスが面白がっているようだと分かったので、ソフィアは少しきまりわるくなった。
「鎖に通して首にかけても、ポケットに入れていてもいい」
 そう言われてソフィアは左手をかざし、人差し指に光る金を見つめた。
 小さく、片翼のようなものが彫られている。
「つがいなの?」
「おなじ指輪はないよ」
 ソフィアは何か思い出せそうで考えていたが、部屋の暑さもあってか思い出せない。
「ありがとう」
 お礼を言い忘れていたことだけ思い出した。フレイスは少年のように笑って頷いた。
 しばらくして、暖炉のほうへ歩いていくフレイスの背中を見た時に、指輪に彫られているものの形を思い出す。フレイスの肩甲骨のあたりにある翼のような古傷のかたちと同じだった。




2010 Valentine
肩甲骨は翼のなごり/指先のひかり
PR
Post your Comment
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

trackback
この記事のトラックバックURL:

[66] [65] [64] [63] [62] [61] [60]


« あれ、生きてた?: HOME : HELLO2010 »
プロフィール
HN:
憂 ( うい )
性別:
女性
自己紹介:
北海道に住んでいる大学生です。
現在サイトをお休み中。
カテゴリー

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP
忍者ブログ[PR]